農研機構
西日本向け水稲品種「にこまる」栽培マニュアル(2015年版)より
2)育苗
◎苗箱当たり播種量は「ヒノヒカリ」並かやや少なめする(後述のように細植えが適する)。育苗器で催芽する場合、催芽日数はヒノヒカリより短くする(通常2日程度)。
出芽長 1.5cm 程度で苗代に展開し硬化を開始する。苗代の育苗シートの除去(緑化開始)も「ヒノヒカリ」より 2-4 日早く取り去る(芽長 2cm がシート除去の目安)。
苗を伸ばしすぎると徒長のため苗質が悪くなり、植付け精度や活着が悪くなりやすく、茎数が少なくなるなどその後の生育に悪影響があるので注意すること。
3)基肥
「ヒノヒカリ」に準じるが、地力の高い水田では「ヒノヒカリ」よりやや減肥してよい。
○基肥量は10a当たりチッ素成分 4 ㎏程度を基準とし、地力や前作物の種類(肥料残効)等を考慮して加減する。基肥量が多すぎると徒長や過繁茂、草姿悪化による登熟不良になる危険がある。大豆あとや堆肥施用田ではとくに注意する。
○肥効調節型(緩効性)肥料を利用した全量基肥の場合には、全体の施肥量(チッ素成分)を慣行の80~90%とする。肥効調節型(緩効性)肥料は溶出期間が120日タイプのものを用いると良
い。
4)移植
○移植時期:地域の田植え慣行に合わせるが、早植えは高温登熟の危険が増すので避ける。九州平坦部の田植え基準は6月15日~25日前後である。
○裁植密度:「ヒノヒカリ」の基準に準じて植え付ける。1 株3~4 本植えを目安とする。植え付け本数が多すぎると、初期生育が徒長して葉が垂れがちになるので注意する。60 株/坪が基準だが、50株/坪程度までの疎植にしてもよい。
5)移植後の水管理
◎初期生育を過剰にしないため、除草剤の効果を確保したあとは浅水あるいは間断潅漑で管理する。万一徒長が見られた場合は軽い中干しを行い初期生育を抑制する。浅水は分げつ確保にも有効である。
○中干しは品種特性を発揮させるためにしっかり行う。開始時期は「ヒノヒカリ」より2-3日遅い時期に行えば良い。
6)穂肥
○葉色の経過 分げつ期は「ヒノヒカリ」よりやや薄いが、幼穂形成期頃からはほぼ同じになる
○穂肥施用時期の目安「ヒノヒカリ」より2-3日遅い時期に行う。
○施用量はヒノヒカリに準ずる。4kg/10a を基準として、2 回分施の場合は、1 回目を出穂 18~16 日前(幼穂長 8mm-2cm の時期、2 回目を出穂前 7 日頃に施用するのが標準である。ただし、基肥量や、穂肥時期の葉色を見て若干増減しても差し支えない。
○肥効調節型肥料を利用した全量基肥栽培では、基本的には穂肥施用の必要はない。
※穂数は「ヒノヒカリ」よりやや少ないが、1穂籾数は 80~90 粒とやや多く、籾数は取りやすい。
極端な多肥や晩期追肥は食味に悪影響を及ぼすので避ける