なぜ僕はお米をつくるのだろう?(その9)

2012年1月3日に「米つくらんか?」と声をかけられて始めた米作りも7年目を迎える。2018年1月3日に伊規須慰夫さんが85歳でなくなった。米づくりを始めたのは慰夫さんの来訪がキッカケだった。

「いくら畑で野菜つくれても、よそ者に田んぼはできない」というある農夫の言葉が何年も僕の心に淀んでいた。

2012年正月3日突然よどみが解消した
「いづさん田んぼやらんね」と慰夫さんが訪れた
何も考えず「やらせて下さい」と答えた
突然3枚(3反)の水田で水稲を栽培することになった

籾の用意がないので苗を予約した
古い田植機をくれるという人が現れた
これで田植えまでは漕ぎ着けた
従来通りの栽培法で肥料などを準備した
前耕作者に大まかな栽培法を尋ねた
インターネットで「田植えの方法」を調べた
プリントした図の通り田植え行った

さて稲刈りはどうしようか?
農機具屋の瀧口さんが中古バインダーを紹介してくれた
その後脱穀機(ハーベスタ)も入手出来た
これで掛け干しの用意が整った

5万円程度の農機具出費でスタートした
結果として「掛け干し」(天日干し)になった
これが評判になった
あっというまに3反の掛け干し米は売り切れた
50万円を超える売上になった
だから充分もとはとれた

それから年ごとに慣行栽培から無農薬・有機栽培へと進んできた。栽培面積も10倍になった。

そして2017年11月に開催された「九州のお米食味コンクール」で約671件の出品検体中59位で『個人チャレンジ部門特別賞』になった。食味値も82点で美味しいと言われてきたお米の客観的評価が得られた。

なぜわずか5年ほどでそこまでたどり着いたかというと、リンゴガイで除草ができたからだ。そのきっかけは米農家福島光志さんのアドバイスに負うところが大きい。宇根豊さんの書物や前原地域の環境稲作研究会 による方法は数ミリ単位の厳密な水位管理が必要とされてきた。

福島光志さんの『田植から分蘖期までの水管理』の実際
まずリンゴガイで除草することだけを意識する。
1.田植え後水を落とし
2.床に雑草の芽が見え始めたら
3.稲苗が水で覆われる位に水を張る(凸凹の床が水で覆われる)
( 一昼夜ほどで床の雑草を食べ尽くしたリンゴガイが稲苗に登り葉を食べ始めるので)
4.稲苗葉の切片が水面に浮いてきたら
5.一気に落水し床を露出させる
2.〜5.を数回繰り返すと硬くなった稲苗をリンゴガイは食べなくなる。

ジャンボタニシと呼ばれるリンゴガイの生物学的分類は、タニシと異なるリンゴガイ属になる。だから種の特定をしていない「いわゆるジャンボタニシ」は、スクミリンゴガイと呼ぶより、リンゴガイという属名が適切だ。

スクミリンゴガイとラプラタリンゴガイの同定をしていないなら、リンゴガイとした方が良さそうだ。
界:動物界 Animalia
門:軟体動物門 Mollusca
綱:腹足綱 Gastropoda
上目:新生腹足上目 Caenogastropoda
目:原始紐舌目 Architaenioglossa
上科:リンゴガイ上科 Ampullarioidea
科:リンゴガイ科 Ampullariidae
属:リンゴガイ属 Pomacea
種:スクミリンゴガイ P. canaliculata
種:ラプラタリンゴガイ P. insularum

リンゴガイは、巻貝としては歩行速度が非常に速く、雑食性で、植物質、動物質を問わず、水中の有機物を幅広く摂食する。1989年に福岡県糸島市前原の大平正英さんによって、この性質を活用した無除草剤農法が初めて試みられ、小川武臣さんに引き継がれ、さらに1993年に「稲守貝研究会」が結成され、本格的な普及が始まった。前原地域では1999年に、この方法が100ヘクタールに広がった。

菊川市によると
貝が水稲に被害を及ぼすのは田植え後3週間までです。また、水深2cm以下では貝が活動できません。そのため、この間は水深を浅く保つと実害がほとんどなくなります。

水田のジャンボタニシ対策
静岡県菊川市
ジャンボタニシの生態及び駆除
愛知県稲沢市

菊川市の解説にあるように、リンゴガイが水稲に被害を及ぼすのは田植え後3週間までで、水深2cm以下では活動できない。だから3週間の水管理さえできれば、除草剤を使わないで済むのだ。
しかし、水稲栽培で使われる除草剤は莫大な金額になる。10アール(1反)あたり3000円で、1ha(1町)で30,000円にもなる。
農薬を散布し、除草剤で草を枯らし、化学合成肥料で収穫量を上げる慣行農法によって農薬製造販売会社やJAが成り立つ日本の農業体制を見直さないと、安心・安全な水稲栽培は成り立たない。
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