僕はなぜ?お米をつくるのだろう?

『1〜8の全文掲載』

僕はなぜ?お米をつくるのだろう?
1.2012年11月1日 はじめての米づくり
2.2013年12月31日 コンバインなどの設備を充実させた
3.2014年12月31日 ほ場が1町を超えた
4.2015年7月8日 2町の米づくり
5.2015年7月9日 カントリーに籾を搬入した
6.2015年7月9日 米づくりのディープな世界
7.2015年7月10日 特別栽培米に挑戦
8.2017年2月20日 リンゴガイ農法で除草剤不使用
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1.2012年11月1日
はじめての米づくり

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いくら畑で野菜つくれても
よそ者に田んぼはできない
この言葉が何年も心に残った
2012年正月3日突然キッカケが生まれた
「いづさん田んぼやらんね」
何も考えず「やらせて下さい」と答えた
突然3枚(3反)の水田で水稲を栽培することになった
籾の用意がないので苗を予約した
古い田植機をくれるという人が現れた
これで田植えまでは漕ぎ着けた
従来通りの栽培法で肥料などを準備した
前耕作者に大まかな栽培法を尋ねた
インターネットで「田植えの方法」を調べた
プリントした図の通り田植え機を動かした
さて稲刈りはどうしようか?
農機具屋さんが中古バインダーを紹介してくれた
その後脱穀機(ハーベスタ)も入手出来た
これで掛け干しの用意が整った
5万円程度の農機具出費でスタートした
結果として「掛け干し」(天日干し)になった
これが評判になった
あっというまに3反の掛け干し米は売り切れた
(翌年は5反・・・続く)

2.2013年12月31日
コンバインなどの設備を充実させた
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あっというまに3反の掛け干し米は売り切れた
2012年米づくり2年目の2013年は、2枚の田んぼが増えて5反になった
離れた田んぼはコンバインで刈ってもらおうと思った
当てがはずれてバインダーで4.5反すべて刈った
家族で掛干しは3反までにしようと話し合った
しかし前から声をかけていた80代の方が
「足が痛い」全部引き受けてくれないかと相談に来た
「いいですよ!」と引き受けた
田んぼのリストを加算したら1町3反もあった
これまでの田んぼ、その他に増えた田んぼを合わると2町になった
これはコンバインで刈らないと無理だと中古のコンバインを見つけた
田んぼを止めた農家の田植機を買った
遠赤乾燥機も設置した
農業機械を格納し、野菜の袋詰め等をする倉庫をつくった
(いよいよ3年目にして2町歩の米づくりが始まる・・・続く)

3.2014年12月31日
ほ場が2町を超えた
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米づくり3年目の2014年は2町歩を超えた
1反(10a)は300坪、1町(10反1ha)は3000坪
なんとも恐ろしい広さになってしまったっことか
田んぼを手にするまでは米作りがしたいと願った
3反の水田での掛干しは新鮮で楽しかった
畝間が空き、蛇行した田植えも稲が見事に覆い隠した
バインダーで稲刈りをすると紐で束ねてくれる
文房具のバインダーはここから派生したのかと納得
田んぼの脇に並ぶ歩道の手すりが丁度良い掛干し場
水分を計りながら1週間かからないで乾燥した
キャタピラで移動しながら脱穀するハーベスタ
コンバイン袋に約30キロづつ収めて倉庫へ
昔ながらな精米所で籾スリ・精米して完成
日本の「おこめ」はこうして脈々とつくられてきた
2013年の5反の掛干し夢つくし栽培は
干す作業と脱穀作業での腕の上げ下ろしは疲れた
でも日本の原風景「掛干し」を守った
しかしコンバイン刈り、遠赤乾燥の米づくりは違った
農業従事者高齢化の現実に直面した
これまで30町も米を作って来た方が止めると言った
多くの水田所有者(地主)は返されても困る
地域の水田耕作者約10人が集まって10町近くを分担
僕にも約5反が回って来た
考えてみれば僕は今年65才を超えていた
農家の平均年齢を上回っているのだ
米作りを始めて3年目の高齢者が2町歩の水田を任された
これは日本の貧困ではないか
まったなしに6月はやってきた
灌漑池の堰が切られ、水路を水が回りだした
(2町歩の米づくりの幕が落とされた・・・続く)

4.2015年7月8日
2町(6000坪)の米づくり
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まったなしに6月はやってきた
灌漑池の堰が切られ、水路を水が回りだした
いよいよ2町歩の米づくり
幕が切って落とされた
実は水が入るずっと前に米づくりは始まる
年が明け「田起し」をした
5月になって極浅く耕耘した
それから「良作君」を散布しケイ酸を供給した
6月10日に「桜堤」の水が水路に供給され始めた
6月13日に「森裏堤」の用水から水が入った
6月15日に農協の夢つくし苗を受け取った
6月15・16日夢つくしの田植えた
6月22日に元気つくし、つくしほまれの苗を受け取った
6月22・23・24日元気つくし、つくしほまれの田植えをした
田植えは1反1時間のペースで進んだ
田植機は苗を植え同時に肥料を入れていく【水路に水が回ったら直ちに田を満水にし、代かき時に水位を調整、代かき後直ちに田植え】

2014年は急に田が増えたので水位調整が出来そうもないと考えた
そこで田植え後1週間程度で水位を調整し除草剤を撒いた
除草剤はこの時だけ1回に抑えた(まったなしに6月はやってきた・・・続く)

5.2015年7月9日
2014年「飼料米ツクシホマレ」の栽培を始めた
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2014年の米作りを通していろいろ解ってきた。
田植え直後に除草剤を1回だけ使って雑草の発芽を抑えた。ほとんどのほ場では農薬散布は行なわなかった。
飼料米としてカントリーエレベーターに納入する「つくしほまれ」6反はラジコンヘリコプターによる農薬散布を組合に依頼した。元気つくし4.5反には、稲穂が出来始める出穂期に追肥を散布した。2014年度はじめて飼料米を栽培した。飼料米に ちょっと触れておこう。飼料米とは近くの牧場の牛に食べさせるお米だ。冬期干し草がなくなるのを補い、人の食用に作られる米の過剰生産を抑える苦肉の策が 飼料米だ。玄米で1反約500キロを納めると約8万円が支払われる。国の補助金を使った生産調整だ。減反がなくなった後に飼料米の生産を奨励することで食 用米の生産過剰を抑制する。
2014 年産水稲は白米1キロ250円を割り込む安値が報じられている。素性のわからない、味の保証のない米でも安ければ売れるということで流通業者は農家から買 いたたいていると聞いている。これに加えて農協も1キロ170円程度で買い入れた玄米を在庫減らしのため安く業者に販売しているようだ。なぜこんなことになったのだろう?農家のほとんどは、刈り取った籾をそ のまま農協(JA)の乾燥貯蔵施設(カントリーエレベーター)に搬入する。乾燥や籾すり、そして販売の手間がかからずに納めただけ買い取ってもらえる。こ れが農家の美味しい米をつくろうとする意欲を失わせた。米以外の現金収入のある北部九州を例にとれば、いちごや野菜、生花が生産の中心になっている。水稲 は代々伝わる田圃や稲作を止めた農家から委託され、量が穫れれば良いという取り組みでしかない。
量を穫るためには肥料を効かせる。しかし肥料を多く使った米の味は落ちる。しかしこれで困る事はないので、毎年収量の上がる栽培法で米を作り続け、米の在庫は増え続ける。
全 国各地の農村にカントリーエレベーターという共同乾燥施設がある。山裾で美味しい米が出来る地域と海岸沿いの砂地の地域とで同じカントリーエレベータに納 品されると、悪貨は良貨を駆逐してしまう。この地域の米は直販所等で売れない。農家は農協に依存し続けるか、稲作から手を引くかの選択を迫られる。
そんな背景で、高齢を理由に地主に田を返す動きが加速している。返された地主も自分で耕作する設備機材を持たないので、耕作者を探すか田を手放そうとしている。
主食としての美味しい米を地域で消費する体制がとれれば変わって来ると思う。それで僕は米をつくり続けている。
幸い飼料米6反で50万円近い売り上げになった。これから苗代、ヘリコプター防除、肥料、その他の薬剤を差し引き、農業機械の購入価格を考えると、10年近くかからないと設備投資は回収できないだろう。その頃僕は働き続けられるのだろうか?

3年目の米づくりは飼料米6反と餅米1反で幕を閉じる。
(田植え直後に除草剤を1回だけ使った・・・続く)

6.2015年7月9日
米づくりのディープな世界「水利組合」
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2014年11月に3年目の米づくりを終え、2015年1月に4年目の米づくりが「田起こし」から始まった。
2014年(平成26年度)を振り返って米作り3年目に5反から2町に耕作面積が拡大し、田植機、コンバイン、乾燥機を整えた。2町の水田の約5割が減反の対象になり、6反で飼料米を栽培し、4 反で里芋などを栽培した。したがって実際に食用に栽培した水稲は、掛け干し夢つくし1.5反、コンバイン刈り夢つくし4.5反、元気つくし4.5反、そし て急に頼まれて植えたにこまる3反の計1町3反に達した。掛け干しとコンバイン刈りを合わせた6反の夢つくしは1月中旬に完売した。この分だと4.5反の 元気つくし、3反のにこまるは5月までに売り切れるだろう。
『桜溜池水利組合委員』
桜溜池水系の用水を使う水稲耕作者が順番に委員を受け持つ。桜堤委員は11名で構成される。この中からいわゆる水利組合長が互選で選ばれる。大げさな呼び方をきらって「担当」と 自称している。しかし農地の売買などには必ず水利組合長の承認が必要だ。農地転用といって農業以外の目的に農地を使う書類にも水利組合長の認め印が必要 だ。
桜堤委員は田植えから稲刈りまでの堤と田への水路の管理運営を行なう。共同で田植え前に配水管やポンプの設置点検を行ない稲刈り後に撤去格納する。この間順番に堤や水路の堰を開け閉めし、水が適切に配分されるよう配慮する。
桜堤からの水路を使って田に水を入れる耕作者は1反あたり2500円の水回し料を支払う。この請求徴収も桜堤委員の役割だ。近くの堤だけで桜堤、森裏堤な ど4つほどある。田が分散している耕作者は関係する堤の委員が順番に回って来る。僕は桜と森裏から水を引いているので水回し料をそれぞれの堤毎に支払う必 要がある。また委員も3年に一度くらいの割合で回って来る。耕作者が僕の所属する集落「高向」には8人しかいないので頻繁に委員が回ってくる。
水回し料の集金に加えて水路工事などの分担金を地権者(地主)から集めるのも委員の役割だ。行政機関から農業用水路の補修については申請によって9割の補 助がでる。今年と来年で約2000万円の水路工事が補助対象で行なわれるので200万円を1反3500円の割合で徴収する。田んぼを沢山所有する地権者は 1年10万円近い分担金を支払っている。
田んぼの地権者から借りて耕作する際には反あたり5000円の使用料を払う、いわゆる小作料だ。この支払いは穫れた米で納めるのが一般的だったが、行政機 関やJAが介在するようになって金銭貸借に誘導されている。相続対策の意味があるようだが耕作者の負担は増える事になる。したがって地権者は田を手放した いと考え、耕作者は手をひきたいと考えるのが実情だ。
(4年目の米づくりが「田起こし」から始まった・・・続く)

7.2015年7月10日
ふくおかエコ農産物認証制度に挑戦
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2015 年(平成27年度)
2015年は福岡県の減農薬認定を掛け干し夢つくし(4反)ともち米(1反)を申請した。夢つくしはJA生産の苗を購入する予定だ。JA宗像では育苗まで に3成分の農薬を使用する。田植機に装着する箱苗に3成分の農薬を散布する。田植え後3成分の除草剤を散布する。これで9成分まで許される減農薬栽培の基 準をなんとかクリアする。人が食べるお米には除草剤を使わない「リンゴガイ農法」に切り替えた。したがって田植え後の水田は無農薬となった。2016年度はJAに種籾の温湯消毒を要請するか自家育苗に切り替えるか検討したい。
ふくおかエコ農産物認証制度とは、化学合成農薬の散布回数(成分回数)と化学肥料の使用量を、ともに県基準の半分以下で生産する栽培計画を認証する制度で、この制度に基づき、生産された農産物(認証農産物)には、認証マークが貼られている。

2015年6月13日にこまる4反5畝の田植えから怒涛の代かき・田植えが6月28日まで続いた。
今年のチャレンジは「リンゴガイ農法」だ。20150709撮影の写真は6月16日田植えの夢つくし11ほ場だ。苗間隔24センチ、苗取り量は標準から1目盛り少ない。箱苗10箱/反で14箱使用

8.2017年2月20日
リンゴガイ農法で除草剤不使用
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—リンゴガイ——
界:動物界 Animalia
門:軟体動物門 Mollusca
綱:腹足綱 Gastropoda
上目:新生腹足上目 Caenogastropoda
目:原始紐舌目 Architaenioglossa
科:リンゴガイ科 Ampullariidae
属:リンゴガイ属 Pomacea
種:スクミリンゴガイ P. canaliculata
種:ラプラタリンゴガイ P. insularum
農研機構の2007年報告によるとミトコンドリア塩基配列によって、測定した多くの地域にはスクミリンゴガイのみが生息し、ラプラタリンゴガイは静岡県、広島県、石垣島、西表島の4地域で生息が確認されている。

—タニシ——
界:動物界 Animalia
門:軟体動物門 Mollusca
綱:腹足綱 Gastropoda
目:原始紐舌目Architaenioglossa
科:タニシ科 Viviparidae
種:オオタニシBellamya (Cipangopaludina) japonica
種:マルタニシBellamya (Cipangopaludina) chinensis laeta
種:ヒメタニシBellamya (Sinotaia) quadrata histrica

リンゴガイは、巻貝としては歩行速度が非常に速く、雑食性で、植物質、動物質を問わず、水中の有機物を幅広く摂食する。1989年に前原市雷山の大平正英さんによって、この性質を活用した無除草剤農法が初めて試みられ、小川武臣さんに引き継がれ、さらに1993年に「稲守貝研究会」が結成され、本格的な普及が始まった。前原地域ではこの方法で1999年には100ヘクタールに広がった。

環境稲作研究会 による方法とは
1:田植後、15~20日は「ひたひた水(超浅水)」にする。高いところが水面上に出るぐらい。低い部分は3~5㎝。(均平な田は0~2㎝の浅水でいい)
2:もちろん除草剤は使わない。除草剤を使うから、水をためなければならず、しかも草が枯れてしまって、餌がないから稲を食べることに気づくべきです。
3:田面の高いところだけは、草がはえてくるが、稲が大きくなるまでがまんする。
4:田植後15~20日たったら、水をためる。(低いところで10㎝、高いところで3㎝ぐらい)草の成長が早いなら、早めに1~3日浅水にしてみて、すぐ落水してもいい。
5:ジャンボタニシは一斉に草のある高いところに移動していき、草を食べる。

リンゴガイ農法
西日本の水田には通称ジャンボタニシと呼ばれる「リンゴガイ」が繁殖し、田植え後の稲苗を食べる害虫として駆除されてきました。水田の若い草を何でも食べるというリンゴガイの食性を除草に応用したのが「リンゴガイ農法」である。
私が行っている方法は、宗像市光岡の米農家福島光志氏から要点を教わったものである。田植え直後に水田を干し、乾燥しそうになったら水を張り、一昼夜おいてリンゴガイに草の芽を食べさせ、また水を落とす。このように水を張り「リンゴガイ」で除草、水を落として水稲苗の食害を防ぐという、「リンゴガイ農法」に2015年から取り組んできた。田んぼで除草剤を使わず、畔は草刈機で除草している。

リンゴガイを飼いならす
ほ場の床に水がなければリンゴガイは地面にもぐって休眠する。水が入れるとすぐに出てきて床の草を食べる。田の水を干す、水を張るという繰り返しで、リンゴガイを飼いならす。最初に水を張るときは苗が隠れるほど大胆にし、稲苗葉切片が水面に浮くようになったら落水し床を露出させる。

田植から分蘖期までの水管理
まずリンゴガイで除草することだけを意識する。田植え後水を落とし、床に雑草の芽が見え始めたら、稲苗が水で覆われるほどに水を張る。一昼夜ほどで床の雑草を食べ尽くしたリンゴガイが稲苗に登り葉を食べ始める。稲苗葉の切片が水面に浮いてきたら、一気に落水し床を露出させる。

圃場全治の床面を水平に作るの大事
稲苗が成長するとリンゴガイの食害を受けないように硬くなるので、水を張るときは、リンゴガイが這い回れる程度までの水位で十分である。中干期に圃場を乾燥させても、リンゴガイは休眠しする。中干が終わって水を張れば這い出してくる。リンゴガイによる除草の成否は、ほ場全体の床面が水平に仕上がっているかにかかっている。

なぜ日本にリンゴガイは拡がったか
日本でジャンボタニシと呼ばれるリンゴガイ属とタニシは新生腹足類でも疎遠な関係である。アジアにはラプラタリンゴガイが最初に輸入されたと言われてきたが、日本産の種はスクミリンゴガイと同定された。一部ラプラタリンゴガイ遺伝子を持つ個体も分布する。
日本には1971年長崎県島原市の養殖業者がアルゼンチンから、1981年に台湾から長崎県と和歌山県に持ち込まれたとされる。1983年には養殖場が35都道府県の500カ所にものぼったが、需要がなく、採算が取れないため廃棄された。1984年に有害動物に指定されたが、廃棄されたり養殖場から逸出したものが野生化し、分布を広げている。この経緯は、アメリカザリガニやアフリカマイマイの場合と共通している。(主にwikipediaより引用)