ここのところの雨で今 日も畑に出られないのでウラン、劣化ウラン、原子力発電について考えてみた。かつて浜岡原子力発電所の温排水の調査をアルバイトでした事がある。考えてみ れば結構放射性元素に接点があったし、場合によってはウラン等の放射性元素に関わる仕事をしていたかも知れない。温暖化防止に世界の関心が向けられている が、もっと放射性元素に注意を払わないと取り返しのつかない事態になりかねない。
ウランは自らアルファ線を出して変化する「放射性物質」であるとともに、中性子が当たると核分裂を起こす「核分裂性物質」でもあります。ウランには、核分 裂し易いウラン235と核分裂しにくいウラン238があります。ウラン235とウラン238、言葉での上では『5』と『8』が違うだけですが、この違いは 何を表しているのでしょう?実は、この数字は原子核に含まれる中性子の数の違いを表しています。
ウランは原子番号92ですから、陽子数は92。中性子の数は、ウラン235で235-92=143、ウラン238で238-92=146です。
この2つはどちらも同じウランですが、中性子の数が違うので同位体と呼ばれています。
ウラン235 | ウラン238 | |
原子番号(陽子数) | 92 | 92 |
中性子数 | 143 | 146 |
核分裂 | 核分裂し易い | 核分裂しにくい |
放射能の半減期 | 7億年 | 45億年 |
自然での割合 | 0.7% | 99.3% |
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天然のウランの99.284%がウラン238である。ウラン238トはウランの同位体の一つ。ウラン238は中性子が衝突するとウラン239 となる。半減期は4.46 × 109年。劣化ウランはほとんどがウラン238である。濃縮ウランは天然ウランを濃縮して、よりウラン235の濃度を高めたものである。
広島型原子爆弾ではウラン235が80%、ウラン238が20%
通常、ウラン238は、中性子の捕獲率が高く、それは結果としてウラン235の核分裂反応を妨げる。簡単にいえば、ウラン238は核分裂反応の減速材とし て機能する。そのため、兵器級(Weapon-Grade)濃縮ウランを製造する際には、ウラン238の割合が少なくなるように配慮される。広島に投下さ れた原子爆弾ではウラン235が80%、ウラン238が20%であった。
ただし、ウラン238も高速中性子に晒されると核分裂反応が起こる。そのため、水素爆弾やその派生である3F爆弾では、核融合反応を発生させるためのX線の反射材として、また核融合で発生する高速中性子と反応させるブースターとして使用される。
軽水炉による原子力発電においては低濃縮ウランが用いられるが、ウラン238が中性子照射によって核種変換されて生じるプルトニウムはそのまま核分裂して エネルギー生成に寄与する。高速増殖炉においてはウラン238はブランケット燃料として炉心に装荷されプルトニウムを生成するのに使われる。プルトニウム は核兵器に使用できるほか原子力発電の核燃料にも使用できる。
劣化ウランは天然ウランを濃縮したあとの残りカス
天然のウランに比べてウラン235の割合が低いので劣化(減損)ウランといわれていますが、強力な毒性を持つ放射性物質で放射能の半減期は地球の年齢と同じ約45億年と事実上、ほぼ永久的に放射能を出し続けます。
日本の原子力発電所は海に面して建設されます。それは絶えず温排水を放出し続けなくてはならないからです。それによって放流海域の海水温度は上昇しま す。これによって海面からC02が体宮中に放出されます。それを原子力発電の二酸化炭素放出量に含めていないので、「原発は環境に優しい」というキャッチ フレーズはまやかしだと言えるでしょう。
温排水によるCO2増加を含めると自然エネルギーによるCO2排出量の最も高い発電が原子力発電だと言っても良いでしょう。加えて天然ウランの99%がウ ラン238で、その多くが放射性廃棄物になり、半減期が地球の歴史と同じ45億年にも達するという事を考えるなら、他の自然エネルギーに比重を移すべきで しょう。
温暖化対策に消極的なアメリカは放射性元素の拡散についても無頓着なようです。